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1.自動車損害賠償責任保険とは

交通事故が起こった場合に最初の対人保険となるのが自賠責保険です。自賠責保険は、
自動車事故による被害者すべてが補償の対象となり、被害者に重大な過失があった場
合のほかは減額されません。   

a.過失相殺については、被害者に重大な過失がある場合のみ適用されます。
その場合でも、下記の適用になります。

  被害者の過失割合         減額割合           減額割合

                死亡・後遺障害に係るもの     障害に係るもの

  7割未満             減額なし           減額なし
  7割以上8割未満          20%減額           20%減額
  8割以上9割未満          30%減額           20%減額
  9割以上10割未満          50%減額           20%減額 

保険金については、下記の上限があります。
障害・・・・・上限120万円  (治療関係費・休業損害・慰謝料等含めて)
死亡・・・・・上限3000万円 (葬儀費・逸失利益・慰謝料等含めて)
後遺障害・・・4000万円   (逸失利益・慰謝料等含めて)

自賠責保険では、事故について責任がないこと(無責)を立証する責任は、加害者側
にあります。
被害者は、加害者の故意、過失を立証する必要はなく、事故のあったことを立証すれ
ばよく、この為、実質的には加害者の無過失責任です。

b.賠償される損害の範囲    
この保険は、人身事故のみを対象としたもので、自動車、建物など物的損害は賠償さ
れません。また、他人に与えた損害に限られていますから、事故を起こした車の運転
者又は運行供用者は、自分の車に付いている自賠責保険からは補償されません。

c.賠償金額   
 イ.死亡事故による損害‥‥‥‥‥‥‥1人につき最高3000万円まで
 ロ.死亡するまでの傷害による損害‥‥1人につき最高 120万円まで
 ハ.傷害による損害‥‥‥‥‥‥‥‥‥1人につき最高 120万円まで
 ニ.後遺障害による損害‥‥‥‥‥‥‥1人につき後遺障害の程度(1級〜14級まで)
                   に応じて3000万円から75万円まで

d.請求の方法   
 イ.加害者請求‥‥‥‥加害者が被害者に損害賠償金を支払った後に、加害者がそ
            の領収書その他必要書類を添えて、契約している損害保険
            会社に請求します。  
 ロ.被害者請求‥‥‥‥「加害者が支払わない」、「誠意はあるが支払能力がない」、
            「賠償責任を認めない」などの理由で、加害者からの賠償が
            望めない場合、被害者は加害者の契約している保険会社に
            直接請求できます。
 ハ.仮渡金の請求‥‥‥被害者が、生活費・治療費に困るときに請求(1回だけ)
            すれば、すぐ支払われます。支払われる金額は、死亡の場
            合には 290万円、傷害の場合にはその程度に応じて40
            万円・20万円・5万円の3段階に分かれています(加害
            者は請求できません)。
 ニ.内払の請求‥‥‥‥傷害事故で被害者の治療が長引いており総損害額が確定し
            ない場合であっても、被害者の経済的負担を軽減する配慮
            から、損害額が10万円を超えることが確認されたときは
            請求することができます。なお、この内払は被害者・加害
            者とも請求することができます。

e.事故の相手(加害者)が複数いる
共同不法行為に該当するときは、それぞれの相手から賠償を受けることができます。
この場合、原則として保険金も、その相手の(加害者)の人数×自賠責保険の規定を
限度にしてもらえます。

f.請求先    
加害車両が加入している自賠責保険の保険会社

g.時効    
保険金(損害賠償額)を請求できる権利は、次により時効となります。
 イ.加害者請求の場合は、被害者に賠償金を支払った時から2年たつと消滅します。
 ロ.被害者請求の場合は、事故発生の時から2年たつと消滅します。 

2.交通事故で被災した場合、ケガの治療でどちらの保険を使えばいい?

通常は自賠責保険先行で何ら問題は有りません。但し、次に掲げる事由に該当する場
合は、労災(指定)病院に対して、敢えて「労災保険の先行願い」を行う必要があり
ます。

a.その交通事故に対して自分の過失割合がかなり大きい場合(自分が加害者の場合
を含む)
自賠責保険では、自己の過失割合が7割を超える者に対しては、損害補償が5割〜2
割の範囲で減額されてしまいますが、労災保険(または健康保険)にはこのような過
失割合による減額はありません。

b.交通事故の過失割合について相手と揉めている場合
これも、上記aと同じ理由です。

c.相手の車の所有者が運行供用者責任を認めない場合
ご存知のように、自賠責保険はその車の運行供用者が事故を起こした場合にその損害
を賠償する保険です。交通事故の相手が勝手に他人の車を運転して事故を起こし、そ
の盗難車の所有者が運行供用者責任を認めない場合、被災者個人がこれを認めさせる
のは多大な労力を要します。
よって、こういった場合は、敢えて労災保険を先行して使うことにより政府に求償権
を行使させる、というやり方が賢い方法です。

d.相手が無保険又は自賠責保険しか加入していない場合
相手が無保険の場合は言うに及ばず、対人無制限の任意保険に加入していない場合も、
後述する「補償範囲の違い」、「診療報酬単価の違い」などの理由で、労災保険給付
の請求を先行させた方がいいケースが出てきます。

3.自賠責保険では、相手が誰かわからない。

例えば、ひき逃げ、また、加害者が自賠責も任意保険も入ってなかったような賠償能
力が無い最悪のケースの救済策として、被害者が泣き寝入りすることがないよう、
「政府の補償事業」を設けています。請求手続は自賠責に同じです。
但し、請求できる期間は事故の翌日から2年です。当座の出費を賄う「仮渡金請求」
や「内払い金請求」の制度もありません。実際に支払がされるまでも請求から半年〜
1年とかかります。


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